騎士たちと女王とトート様たち

8月、濃かったですわ。そしてここ10年で最も理想的な夏休みで楽しい夏休みで、楽しかったです!毎年集まってお会いしたい…なんて贅沢な望みかもですが、もうまた会いたいです。語りたい〜聴きたい〜笑っていたい。

 

初の帝国劇場。すごく良かった…芸術的な舞台で、笑顔がいっぱいで、息苦しい(生き苦しい)思いをする人物もいなくて肩に一切力が入らない作品。

でもなんか…なんか…なんか、何も残らない!!!!

2017年の「グレートギャツビー」観劇以降、「謎の協奏曲」「黒蜥蜴」「1984」と見てきて、こんなにストーリーがぼんやりとしか思い出せないって初めてすぎる。

見終わった後に「帝劇の床がふっかふか…」しか感想が残らない作品初めてすぎる。怒ってない。いやほんと、芸術的な作品で、メッセージもあって、でもなんか…ペルシャ絨毯かと思って担いだらふわっふわの軽い羽布団だったような、未だに不思議な軽さと、物語終盤のずっこけがすごすぎたわ。

 

帝劇で生観劇した作品よりも、パセラで上映してもらったBLEACHミュージカルの方がずっしり重く残って、未だにBLEACHコミックスを借り続けてるくらいです。

岸祐二さんが戦に勝って、島田歌穂さんを強引かつ紳士的に妻にする…これはわかる。うんめっちゃ素敵だし、それは「ぜひ妻に。好きになってもらえるよう頑張るから。妹たちも呼ぶからさ」って、それはわかる。

・牢屋の窓からみたエミーリアに一目惚れする二人…わかるよ。理屈じゃない一目惚れってあるよね!漫画でも一目見ただけで「この人にわたしはまる!」ってわかるときあるもの。

・門番の娘がパラモンに惚れてしまう…そりゃそうだろうよ。芳雄様があの紳士ぶりだから、そりゃあそうだろうよ。

・相思相愛しながら痴話げんかの耐えない騎士ふたり…永遠に見守っていられる。

 

徐々に物語に入り込みはじめるんだけども。

エミーリアが昔の友達をやたら恋しがっているのはずっと謎。なんでそこまで…今友達がいない設定なのか…?門番が男の子で、初恋だったとかなら過去への美化と執着もわかるけれども…。

 

でもって、門番の娘が「自分はどうなってもいいから、パラモンを牢屋から逃がすわ!」と決意。うんうん、だよね。門番の娘の献身を応援していたらそこにトラップが…

「いけない!鎖を切る道具忘れちゃった!取りに行ってきます!」で、取りに行って戻ってきたら「鎖が切れてる…彼は行ってしまった…ひどい!わかってたけど、わたしなんか相手にしてないって!」系の悲嘆に暮れるのがもうわからん!!!!!!

なんでいつの間にそんな欲張りさんになっちゃったの〜〜???

自分が罰される覚悟で逃した人が、無事に鎖を切って逃げていったのを喜べない人を、私は応援できないんですけども!!!!

 

アーサイトがダンスに秀でてる設定は、もうちょっと最初から出してほしかったです。唐突で「え、ここでリアル設定が?」と現実に引き戻されたわ。

 

エミーリアが戦利品みたいに勝手に旦那さん決められて、自分をめぐって決闘されても困るし怒る。…わかる。うんうん。結婚と結びつけるなんてひどいよね!

そんな女性達が作戦を立てるとなって、かなり期待したんですけども…

 

「私、アーサイトを愛してしまった。顔がいいだけなのに」

いや全然全然わっっかんない!!!!光速でずっこけたわ。彼のダンスがずば抜けてたからとか?男らしい勇気に胸を打たれたとか?だとしても納得できるだけの「心が動いた!」エピソードあったっけ!????

決闘でアーサイトの旗をとろうとして、飛び出してきた門番の娘を見てハッとするパラモン。いやいやいやいやいやいやいつ!???いつのどのタイミングでそうなる感じだったの???わっかんないよ〜〜〜〜〜〜〜!!!

 

心が唐突に激動しすぎてて、わっっっっっかんないよーーーーーーー!!!!!

「ま、まあそういうお話なんだ…」って半分諦めで自分を納得させたから、なんか何も残らないよーーーー!!!!

 

エミーリアが「彼を愛してしまった」とか言わないで、「彼に惹かれてる自分がいる。その予感を信じたい」くらいの愛情具合だったら「まあ…結婚してから恋愛ってことで…」とか思えた気もするわ。

門番の娘も、愛するパラモンが決闘に勝てるよう私がアーサイト殺してやる…くらいの狂気と献身を見せてくれてもよかったと思います。

 

なんか…なんかいろんなところが物語が無理やりで違和感だったわ。

ハッピーエンドにするための強引さが苦手だったわ…。

 

黒蜥蜴もギャツビーも謎の協奏曲もエリザベートも、現実味がない設定はあったかもしれないけど。エリザベートだって見てるとき「フランツ、今味方しなくていつするんだよ〜〜〜!バカ!」って突っ込んだりしたけど。でもフランツの行動に「なんで今?」という生理的に気持ち悪い疑問は感じたことない。「ああ…こういう行動、あるよね…」となんか理解できる。(応援はしない)

黒蜥蜴だって、あんなに美しいものに執着する盗賊って非現実的っぽいけれども、自分の美意識を貫くために破滅するのはごく自然だったし。しかも中谷美紀さんのビジュアルの説得力が凄まじかった。

 

なんなんだったんだろうか〜〜〜〜。

 

ところで、エリザベートのウィーン版を見ました。

濃ゆい濃ゆい濃ゆい!!!!!全員が戦闘力100000超えの戦いでしたわ。

トート様は泡盛ロックみたいだったし…。東宝芳雄様に慣れてるので衝撃。水のようでもあり炭酸水のようでもありカクテルのようでもあり、とにかく表現できない奥行きを感じる、そんな芳雄トート様(2016)!!!

たいしてマテ様のトートは、泡盛ストレートロック状態でした。

しかし泡盛には泡盛にしかない香りと濃さがあるように、マテ様の濃さもクセになるっていうか楽しいし素晴らしい。

私のお気に入りは、体操室のシーン。「フランス病だ」と告げられて動揺し始めるエリザベートに、人差し指ビシッとさして「皇帝にも間違いはある!」と指摘。そして「死んでやる!」とエリザベートが叫んだところで「やっとその気になったか!」と側にあった椅子をバーン!!!びっくり!もうびっくりするから!!

 

ウィーン版トート様の元気でやんちゃな感じは、ガンダムWのみなさんの元気さに通じるものがあるような気がしたりする。

 

 そして振り返って騎士たちの物語。

あのお二人を、ああいう友好的な絆で結ばれた関係じゃなく、対立関係で見たかったわ。男版黒蜥蜴と明智みたいな。万里生くんがいつかのラジオで「ミュージカルは、外見である程度役が決まってしまうところがある」と言っていたけど、それをとっぱらうとこういうことになるんだ…と不思議な舞台でした。